恒星(ステラ)占星術

恒星占星術とは

恒星は、私たちの太陽系の中にあるのではなく、広い宇宙に散在しています。太陽の周りを公転している惑星と違い、恒星はみずから光を放っている太陽のような星です。等級によっては、私たちの太陽よりもずっと大きく、ずっと明るいものもあります。恒星の話をする時、私たちは「光年」という単位を使って、私たちの理解をはるかに超える長い距離を表します。これらの星は、非常に遠い場所にあり、その遠さゆえに私たちの目には静止しているかのように映ります。これらの星が「恒星」と呼ばれるのもそのためです。恒星の影響は、その等級によって変化しますが、それは明るさをもとに計算されます。

宇宙には、何百万もの恒星が存在しますが、占星術ではごく限られた数の恒星だけを使います。黄道の付近に位置する恒星だけを使うのです。

恒星を観察し、それを社会の出来事と関連づけて考えるということは、数千年前から行われていました。メソポタミアやバビロニアの時代にすでに恒星に名前がつけられていたことが認されています。恒星は、ギルガメシュ叙事詩にも登場し、彗星、日食や月食、惑星などとともに気象現象の解釈に大きな役割を果たしています。またバビロニア人たちだけでなく、エジプトの人々も恒星の持つ大きな力を信じていました。例えば、ナイル川に頼って生きていたエジプト人は、自然の力に気づき、豊作を祈って夏至を祝い、ナイル川の反乱とシリウスの出現と結びつけて考えていました。最近では、エジプトのピラミッドがオリオン座の三つ星と重なるように並んでいるという有力な説もあります。また多くの歴史家は依然として、ピラミッドはエジプト王たちへの忠誠の証であると考えていますが、最近の多くの考古学的発見は、クフ王のピラミッドと周極星との関連をはっきりと示しています。

キリストの降誕の物語では、星が3人の賢者をベツレヘムの厩へと導きました。また、紀元前250年のギリシャでは、恒星の目録が作られていました。このように恒星の観察は、有史以来ずっと行われており、古代の天体に関する知識が培われていきました。恒星は、人生のさまざまな場面と関連づけられるようになり、その解釈は星座と深い関わりがありました。例えば、しし座のアルファ星であるレグルス(ライオンの心臓とも呼ばれています)は、最も明るい恒星で、強力な力と権力を象徴しています。この星は、王と名誉に関連づけられた非常に重要な星です。通常、この星は、王、女王、支配者、政府の高官などのホロスコープに登場します。
またこの星は、多くの人気を博する人と関連づけられています。

宇宙のすべての物質は電荷を帯びており、物質の周りには磁場が発生しているという事実も、恒星の重要性を示すものです。ほんの微量の放射も地球上の生命に影響を与えます。これは、蝶が羽ばたくとその波及効果で地球の他の場所の気候に影響を及ぼすという現代のカオス理論の「バタフライ効果」と実によく似ています。恒星は、太陽と同じような星ですので、やはり恒星の周りにも太陽と同じような力の場があります。恒星の影響は、等級や明るさで測ることができます。

恒星は、潜在意識や秘められた能力、そして心の奥底の問題などについて興味深い洞察を提供してくれます。しかしながら、恒星の影響だけを考えるのではなく、恒星は惑星の影響を補う副次的なものであるということを忘れてはなりません。恒星は、惑星の影響をより強めたり、あるいは弱めたりする働きを持つのです。

太陽と関連のある星だけを取り上げていますので、太陽の近くに影響力のある恒星がなければ、その恒星についての項目がありません。しかしながら、惑星の位置に影響を与える恒星があることは十分に考えられます。

恒星解釈の基本

太陽は、1年間でホロスコープの360度を1周します。12星座の各星座の角度は、30度です。
恒星そのものが占める角度は1度ですが、軌道やその影響は数度にわたることもあります。星の等級も影響力の大きさを左右します。恒星の影響の大きさを考える場合には、この角度の大きさと等級による影響力の大きさの両方を考慮に入れる必要があります。太陽や惑星が恒星の軌道の内側にある場合には、恒星の影響をはっきりと感じることができ、角度が重なる場合に最も強くなりますが、軌道から離れると影響力は消失します。

恒星の等級

星の力は等級で決まります。
最も強い等級は、0から-1です。

  • 等級1:軌道2°30′
  • 等級2:軌道2°10′
  • 等級3:軌道1°40′
  • 等級4:軌道1°30′
  • 等級5:恒星、星団、星雲:軌道1°未満

恒星が及ぼすプラスの影響とマイナスの影響について述べました。昔からの解釈に加えて、現代の心理学の解釈なども加味して解説してあります。

また、恒星の強さを等級に応じてランクづけしました。等級-1は最も強く、星印10個です。等級5は最も弱く、星印2個です。

恒星リスト

♈️おひつじ座 3月21日~4月20日

デネブカイトス

星の名前:デネブカイトス(別名:ディフダ)
座標:1°32′-2°27′ おひつじ座
等級:2
強度:★★★★★★★★
軌道:2°10′
星位:くじら座ベータ星
該当日:3月21、22、23、24、25、26日
星の特性:土星
特徴: くじら座の尾の部分に位置する黄橙色の星

デネブカイトスの影響は、控えめな性格と決然たる実行力となって表れています。また落ち着きがなく極度に活動的な時期があるかと思うと、次には休養の時期が訪れます。この星の影響を受けている人は、力の配分の仕方に配慮が必要です。そのためには、前向きな考え方でリラックスする方法を学ぶとよいでしょう。また1人で過ごす時間も大切です。太陽の角度によって、この星の影響は、組織を統率する力と強い責任感となって表れます。自分を上手にコントロールすることによって、大きな成果を手にすることができるでしょう。
しかし、欲求不満に陥りがちなので注意が必要です。

●長所:粘り強い、意志が強い
■短所:欲求不満に陥りやすい、直感的に行動する、衝動的に行動する。

アルゲニプ

星の名前:アルゲニブ(別名:キャリアー、ウィング)
等級:3
強度:★★★★★★
軌道:2
星位:ペガサス座アルファ星
該当日:3月29、30、31日/4月1、2日
星の特性:火星/水星
特徴:ペガサス座の翼の中にある小さな白い星

アルゲニブは、アイディアと行動を通して偉大な達成をすることを可能にする、前向きで活発な思考力を与えてくれます。さらにこの星は、強固な意志、決断力、情熱と、競争好きな性格も運んできてくれるのです。頭の回転も速くなり、堂々たるスピーチで相手を言い負かすこともできるようになります。ただし、すぐにかっとなったり、向こう見ずなところには注意が必要。この星と太陽の位置との関係により、商売の技術、学習への意欲、宗教への関心、物を書く才能が与えられています。アルゲニブは、1人の時間が必要であることも示唆していますが、多くの人と関わる仕事で成功することも表しています。

●長所:決断力がある、意志が強い、闘争心が強い
■短所:人のあら探しをする、嫌みっぽい、わがままなふるまいをする、憂鬱になりやすい、大げさである

シラー

星の名前:シラー(別名:アルファラツ、カプト・アンドロメダ)
座標:13~11′-14’13’ おひつじ座
等級:2
強度:★★★★★★★★
軌道:2°10’
星位:アンドロメダ座アルファ星
該当日:4月2、3、4、5、6、7日
星の特性:木星/金星
特徴:アンドロメダ座の頭部に位置する青、白、紫の連星

シラーは、人との間によい関係を築く能力や、人気を獲得
する力を象徴します。この星から協調性を与えられているため、社会生活を通して富を得ることができます。さらに、名誉、富、楽観、陽気さ、多才さ、さらにしっかりとした判断力があなたのものに。ただ、人気に慣れっこになって、物事をずけずけ言いすぎないように注意。太陽とこの星との位置関係により、目的がはっきりしていれば、それを確実に達成できると示されています。欲しかったものを手に入れると、次に何をしようか悩んでしまうところがありますが、ちょうどよい時にちょうどよい場所にいて、ぴったりの人に会うことのできる巡り合わせのあなたですから、すぐに悩みも解消することでしょう。

●長所:温かい心を持っている、喜びを見出すのが得意、人気者である、魅力的な個性を持っている
■短所:うぬぼれ屋である、不摂生をしがちである

バテンカイトス

星の名前:バテンカイトス(別名:鯨座、鯨座ゼータ星)
座標:20°57′-21°49′ おひつじ座
等級:3.5-4
強度:★★★★★
軌道:1°30′
星位:くじら座ゼータ星
該当日:4月10、11、12、13日
星の特性:土星
特徴:くじら座の腹部に位置する黄色の星

バテンカイトスは、用心深さ、まじめさ、誠実さを与えてくれます。また、責任感の強さ、まっすぐな態度、どんな困難にも立ち向かうことのできる力の象徴でもあります。1人きりで働くことを好み、他人の制限を受けることを極端に嫌います。太陽とこの星との位置関係が、変化への適応を学ぶ必要があることを示しています。運勢とライフスタイルに変化が訪れます。やっと落ち着いたかと思うと、突然の大変革が起きることも。仕事の都合で旅をしたり引っ越しをするよいチャンスに恵まれることもあります。

●長所:思慮深い、上品である、献身的である、勤勉である、がまん強い
■短所:沈みがちである、わがままである、情緒不安定である

アル・ベルグ

星の名前:アル・ペルグ(別名:クラットヌーティ、ピスキウム)
座標:25°50′-26°46’おひつじ座
等級:3.5-4
強度:★★★★★
軌道:1°30′
星位:うお座エータ星
該当日:4月15、16、17、18日
星の特性:土星/木星
特徴:うお座の北側の魚の尾ひれ近くに位置する連星

アル・ペルグは、目的を達成するための力強い決意を与えてくれます。目標を達成するために一番大切なのは、思いを一途に持ち続けること。しかしそれは簡単なことではありません。忍耐力を持って専念することで、成功を収め、認めてもらえるのです。さらにこの星は、自分自身に対して不満を持つことは、短気につながると忠告してくれています。太陽とこの星との位置関係は、ゆっくりと、しかし着実に力を強めていけば成功を収められるということ。また、政治に関わる仕事が向いていることを表しています。

●長所:1人でも寂しくない、義務感が強い、まっすぐな心の持ち主である、正直である
■短所:移り気である、緊張しやすい、目標を一定に保つことができない

バーテックス

星の名前:バーテックス(別名:グレートネブリ)
座標:26°51-2747 おひつじ座
等級:3.5-4
強度:★★★ ★★
軌道:1
星位:アンドロメダ座M314
該当日:4月16、17、18、19日
星の特性:火星/月
特徴:アンドロメダ頭部の北側に位置する大星雲

バーテックスは、野心と負けん気の強さを授けてくれます。闘争心が強く、常に1番でいたいと思っているはずです。しかし同時に緊張しやすいという性質も持っているため、衝動的な行動に走ってしまうことも。太陽との位置関係は、公共のために働くことを好むと示唆しています。優れた指導力、理想主義的態度、正義のために闘いたいという欲求なども、バーテックスの持つ性質です。ときどき感情が荒れる時があるので注意しましょう。

●長所:競争心が旺盛である、情熱的である、活力にあふれる、説得力がある
■短所:落ち着きがない、気が変わりやすい、短気である

ミラク

星の名前:ミラク(別名:アンドロメダズ・ガードル)
座標:29 17 おひつじ座-0°24’おうし座
等級:2
強度:★★ ★★ ★★ ★★
軌道:2°10′
星位:アンドロメダ座ベータ星
該当日:4月18、19、20、21、22、23
星の特性:海王星/金星
特徴:アンドロメダの腰に位置する赤黄色の星

ミラクは感性、想像力、理想主義、洗練された美のセンスを象徴する星。この星の影響を受けたあなたは、快活で魅力的にあふれ、幸せを求めて集団の中にいることが多いでしょう。ミラクは、想像的な力、着想、美学的アイディアを与えてくれます。ですから、あなたは空想にふけるのが好きなのです。冒険心が旺盛で、未来を描き出すのも得意。周囲の人に刺激や影響を与えることのできるあなたは、いつでも皆の人気者です。友人は、重大な場面であなたを助けてくれるでしょう。太陽とこの星との位置関係は、音楽の才能を表しています。あなたの目標は、理想を実現すること。また、この星は、あまりに極端な行動をとると、自分に自信が持てなくなることを警告しています。

●長所:鋭敏な頭脳を持っている、理想を追求する、センスがよい、芸術的才能に優れる、興味の幅が広い
■短所:隠れて悪いことをする、恋愛中毒である、理想が高すぎる、思いこみが激しい